2016年3月1日火曜日

アメリカで妊婦健診~出生前スクリーニング(出生前診断)~【2014年12月11日】

以下は2014年12月11日に書いた記事です。

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さて、今日は妊婦健診に関連して、出生前スクリーニングについて書きたいと思います。(日本では、広く、「出生前診断」と呼ぶことが多いかと思いますが、「診断」という響きが「確定」というイメージを与えて、羊水検査や絨毛検査以外の非確定検査について使用する事に個人的に疑問を感じるので、英語のままスクリーニングを使用しています。医療関係者ではないため、記載内容に誤りがある可能性があります。ご了承ください。また、誤りがあった場合には、ご指摘いただけると嬉しいです)

カリフォルニア州では、州政府が出生前スクリーニングについてのブックレットを作成し(こちら)、妊婦健診の際に、全妊婦にこれを配り説明することを医師に義務付けています(参照)。わたし達も初診の際に、このブックレットをもらい、検査について細かく説明を受けました。

正直、この説明を受けるまで、出生前スクリーニング等についての知識も無かったし、何よりも子どもの染色体異常等の可能性について深く考えたことが無かったので、わたしもジョータも、この瞬間に、親になることの責任、覚悟について重いものをバンッと突きつけられた感じがして、色々な考え、感情が身体の中をグルグル回る感じがしました。

検査は、以下の3パターンから自分で選択することになります。

  1. Quad Marker Screening(妊娠15週~20週の間に行う血液検査)
  2. Serum Integrated Screening(妊娠10週~13週6日まで及び15週~20週までに行う2段階の血液検査)
  3. Sequential Integrated Screening(上記2の血液検査に加え、妊娠11週2日~14週2日の間に行う後頸部の皮下のむくみの厚さ(NT)を測定する超音波検査を実施)

もちろん、受けないという選択肢もあるし、それはブックレットにもはっきりと記載されており、女性の自己決定権が尊重されています。なお、日本で「新型出生前診断」と呼ばれている母体血中胎児染色体検査は州政府からの選択肢に含まれていません。

先生から、「悩ましい問題だから、家に帰ってふたりでしっかり相談して決めてね。」と言われ、その後数日間ふたりで色々と話し合いました。仮に子どもに染色体異常があった場合、中絶するのか、産むのか、産んでちゃんと責任を持って育てられるのか・・・。

中絶なんて選択肢、とんでもない!って言う人が多いかもしれません。でもね、経済的にも肉体的にも精神的にも色々いっぱいすり減らして、障がいのある子を育てるのは親です。こればかりは、医師であろうと誰であろうと、第三者がその倫理観を振りかざして、親の決定に口を出す問題では無いと思っています。染色体異常による障がいとは異なりますが、わたしは、自分の祖母がアルツハイマーになりました。そして、どんどん記憶や人格を失っていく彼女をクタクタになって介護する両親の姿を見てきました。だから、大丈夫、絶対乗り越えられる、なんて簡単に言えません。それでも、命の尊さも、生きていてくれることの有難さも、わかっているつもりです。

結局、わたしたちは、子どもに染色体異常があった場合にどうするかについて、結論を出すことはできませんでした。ただ、仮に、染色体異常の可能性があるのであれば、知っておきたいし、アメリカではその後もカウンセリング等のフォローアップがしっかりしているので、そのプロセスの中で、自分たちなりの答えを見つけていこうと思いました。そこで、上記の3の検査を受けることにしました。

3の検査をすると、ダウン症について90パーセントの確率、トリソミー18について81パーセントの確率、無脳症について97パーセントの確率、二分脊椎症について80パーセントの確率、腹壁破裂について85パーセントの確率、SLO症について60パーセントの確率で結果が出ます。

この結果により、陰性・陽性が判定され、陽性の場合、フォローアップテスト(羊水検査等)へと進む流れになります。気をつけたいのは、陰性が出たからと言って、100パーセント異常が無いとは言えない事、そして、陽性が出たからと言って、この段階では絶対に異常があるとは言えない事。

ちなみに、染色体異常の確率は妊婦の年齢が高くなれば高くなるほど上昇します。


この表はダウン症に関するものですが、わたしの年齢32歳だと、720分の1だそうです。高齢出産とまでは言えないけれど、やはり20代前半で出産する人と比べるとリスクが高まることは確かです。


そして迎えた第1回目の血液検査の日、11月6日。この日も病院は空き空きで、受付を終えてすぐに名前を呼ばれ、採血をされました。採血室にジョータも入室し、わたしがたっぷり試験管5本分血を抜かれるのを看護師さんと雑談しながら見ていました。テレビとかで血が出るシーンになると目を逸らすくせに、わたしの血を採られている場面は大丈夫って・・・謎。出産立会いのときは役に立ってくれればいいけど。。。その後、ついでに尿検査もして、この日は帰宅。全部で15分程度で終了。結果は1週間後とのことでした。

それから5日後の11月11日にNT検査のため再び病院へ。しかし、いつもの病院ではなく、NT検査のトレーニングを積んだ専門の医師がいる病院へ行きました。3週間ぶりのウルトラサウンド。ちゃんと成長しているか、NTは大丈夫か、不安でドキドキしながらの検査。

血圧を測定後、個室に入ると、中年の白人の女性の先生が検査の準備をしながらわたし達を迎えてくれました。「Good morning! How are you?」と元気良く声をかけてもらって、少しリラックス。こういう気さくなアメリカンな雰囲気、わたしは好きです。おもむろに服を脱ごうとしたところ、先生に「お腹からウルトラサウンドするから脱がなくて大丈夫よ」と言われ、少し恥ずかしかったわ。しかし、朝飲んだ水の量が少ないことを思い出し(妊娠初期は膀胱に尿が溜まっていないと経腹エコーがしっかり映らないことがある)、また不安になるわたし。

お腹を出して、ジェルを塗られ、機械を当てると・・・いきなりチビの上半身が画面にアップになりました。鮮明な画像。NT検査用のウルトラサウンドの機械はやっぱり映りが違うのね。3週間前よりも更に人間っぽくなってる。と、先生がNTを測り始めた・・・ドキドキドキドキ(パグ子の心拍マックス)。結果は1.7mmで問題なしとのことでした(先生によると3.5mm以上は問題がある可能性があるとのことです)。

その後も、心臓のチェック(心拍は1分間166でした)、脳のチェック、腹部から膀胱のチェック、手足のチェック・・・と細かくチビの発育状況を確認。一つ一つ見るたびにビューティフル!パーフェクト!と言ってくれるので、ちゃんと成長してくれているチビを誇りに感じました。検査中に、手足をバタつかせたり、しゃっくりをしたり、けっこう動く。特にしゃっくりする姿が滑稽で、みんなで笑ってしまいました。一方、笑われていることなんて知る由もないチビ。

20分くらいかけて検査し、先生から「ウルトラサウンドの結果は全く問題ない。血液検査の結果と合わせて最終の確率が出るから、結果が出るまでもう少し待っていて」と言われました。

その後、結果について電話がかかってきて、いずれの異常も非常に確率が低い、陰性です、とのことでした。まだ2回目の血液検査は行っていませんが、とりあえず一安心。

ちなみに、血液検査もNT検査も全て保険でカバーされたので、無料(?)でした。アメリカは医療費がバカ高いという話を聞いていたので恐かったのですが、ジョータの会社の保険が良い保険らしく、初診時に10ドル支払うのみで、その後の健診は全てカバーだそうです。

以上、出生前スクリーニングについてでした。
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【後日談】
今目の前にいるジュリアンを抱きしめて、たとえ将来この子に何か起きたとしても、全力で守っていきたいと思う。産んでみて、たとえ障がいがあったとしても、かけがえのない我が子、愛することに変わりはないだろうな。

出生前スクリーニングは中絶につながるから悪って考え方の人もいるだろうけど、フォローアップがしっかりしていれば即中絶という事にはならないだろうし、むしろ育てていくことを前提に、生む前から知識を得て備えるためのものとして、わたしは肯定的に考えています。

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2 件のコメント:

  1. パグ子さん初めまして!ブログ村の海外出産カテからお邪魔させていただきました。同じアメリカで2015年5月に第1子を出産したえいやと申します。実は、うちの旦那もウィスコンシン出身、私は伊豆出身、夫婦ともに東京に住んでいた事があり、共通点が多すぎてコメントせずにはいられませんでした。またお邪魔させていただきますね♪

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    1. えいやさん、初めまして!コメントありがとうございます(^^)すごい、ここまで共通点が多いと運命感じちゃいます!!もしかしてどこかですれ違ったりしてるかも!?
      わたしもえいやさんのブログ拝見させて頂きました〜♪同じ月齢の悩みやアメリカでの育児事情、わかるわかる〜と共感したりいろいろ勉強になったりしました(^^)今後もよろしくお願いします♪

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